スペイサイド・ウイスキー入門——「華やか」と「シェリー」で選ぶ、最初のシングルモルト
スコッチモルトの半分が生まれる銘醸地スペイサイド。グレンフィディックやマッカランを擁するこの地のシングルモルトを「華やかで軽やか」と「濃厚なシェリー」の二つの個性で整理し、最初の一本の選び方をタイプ別に案内します。
スコットランドには5つのウイスキーの産地があるが、その中で最も多くの蒸留所がひしめき、「シングルモルトの心臓部」と呼ばれるのがスペイサイドだ。世界で最も売れるシングルモルトの座を長年競い合ってきたグレンフィディックとグレンリベットも、そして「シングルモルトのロールスロイス」と称されるマッカランも、すべてこの小さな地域から生まれている。
とはいえ「スペイサイドのウイスキー」とひとくくりにされても、いざ選ぼうとすると銘柄が多すぎて迷ってしまう。この記事では、スペイサイドという土地の成り立ちと、その味わいを大きく二つの個性に整理したうえで、「最初の一本」をタイプ別に選べるように案内する。
スペイサイドとは——スコッチモルトの半分が生まれる谷
スペイサイドは、スコットランド北東部を流れるスペイ川の流域に広がる地域を指す。地理的にはハイランドの一部でありながら、あまりに蒸留所が密集しているため、独立した産地として扱われている。その数はおよそ50。スコットランドのモルトウイスキー生産の、実におよそ半分がこの一帯に集まっている。
なぜこれほど蒸留所が集まったのか。清らかな水と良質な大麦に恵まれた土地だったこと、かつて税を逃れる密造がさかんな「密造の谷」だったこと、そして19世紀に鉄道が通り、原料と製品の輸送が一気に楽になったこと——理由は一つではない。詳しくはなぜスペイサイドには世界一多くの蒸留所が集まっているのかで掘り下げている。
味わいの「二つの顔」を知る
銘柄選びで迷わないコツは、スペイサイドの味を大きく二つの系統に分けて考えることだ。
一つは、華やかで軽やかな系統。リンゴや洋梨のような果実、花を思わせる香り、そして蜂蜜の甘さ。すっきりと飲みやすく、ウイスキーが初めての人にも親しみやすい。バーボン樽(バーボンを寝かせたあとの樽)で熟成させたものに多く見られる。
もう一つは、濃厚なシェリー系統。レーズンやいちじくといったドライフルーツ、チョコレートやナッツを思わせる、甘く重層的な味わい。シェリー酒を寝かせた樽で熟成させることで生まれる。飲みごたえがあり、少し慣れた人ほど深くはまりやすい。
同じスペイサイドでも、この二つでは印象がまるで違う。自分がどちらを飲みたいかを決めるだけで、選択肢はぐっと絞り込める。
華やか・軽やか系で選ぶ
まず一本目に王道を、という人にすすめたいのがこの二本。スペイサイドらしい「きれいで飲みやすい」味の基準になる。

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