角瓶 vs ジムビーム——同じ棚・同じ40度の二本を分けているのは、原料より「樽が何巡目か」
スーパーで並ぶ角瓶とジムビーム。ともに40%で、どちらもハイボールの定番だ。甘い側とドライな側に分かれる背景にあるのは、原料よりも「新樽か、バーボンが使い終わった樽か」という樽の巡目の違いである。
スーパーの同じ棚に、角瓶とジムビームが並んでいる。どちらも700mlの瓶があり、どちらもアルコール分は40%。価格帯も近く、棚には「ハイボール」の文字が躍っている。家で炭酸で割る一本として、見比べる機会の多い二本だ。
飲み比べると、印象ははっきり分かれる。ジムビームは甘い。バニラやキャラメルを思わせる香りが立ち、甘さが口に残る。角瓶は厚みがありながら、飲み終わりが乾いている。
この違いは、たいてい「片方は日本のブレンデッド、片方はアメリカのバーボンだから」と説明される。間違いではない。ただ、それだけでは足りない。二本を分けているものを一つ挙げるなら、原料よりも樽が何巡目かである。
この記事では、その一点を軸に二本を並べ、ハイボールにしたときの出方と選び分けまで整理する。
この二本は、思っているより似ている
違いを語る前に、共通点を確かめておきたい。
度数は、どちらも40%。ジムビーム側の40%には法的な裏づけがある。アメリカの規則は、ウイスキーを名乗る酒の瓶詰めを80プルーフ(=40%)以上と定めており、これを下回るとバーボンにもなれない。スコッチも同様に、規則で最低40%と決まっている。
日本はどうか。酒税法には、ウイスキーの最低度数の定めがない。実際、店頭には37度の銘柄も並んでいる(なぜ37度の日本のウイスキーがあるのか)。40度以上という線が出てくるのは、日本洋酒酒造組合の「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」——「ジャパニーズウイスキー」と名乗る場合に限って、国内での蒸留や3年以上の国内熟成とあわせて、容器詰め時のアルコール分40%以上を求める自主基準だ。日本のウイスキー全体に40度の下限があるわけではない。つまり日本では、40度は法律に強制された数字ではない。その中で角瓶が40度に立っている、という事実をまず押さえておきたい。
原料も、言われるほど別世界ではない。ジムビームはトウモロコシを主体に、ライ麦と大麦麦芽を加えて仕込む。バーボンを名乗るには、原料のうちトウモロコシが51%以上でなければならない。
一方の角瓶はブレンデッドウイスキーで、ラベルの原材料名には「モルト」と「グレーン」が並ぶ。このグレーンウイスキーというのが曲者で、一般にトウモロコシなどの穀物を主原料に、連続式蒸留機で軽やかに仕上げたものを指す(グレーンの解説)。
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