ラガヴーリンの種類と選び方——8年・16年・ディスティラーズ・エディション、煙の濃さと度数で選ぶ最初の一本
バーの定番ラガヴーリンは、いざ買うとなると8年と16年で3,000円近い差がある。定番・後熟・限定の三層でラインナップを整理し、味の方向・度数・実売価格から「最初の一本」の選び方までまとめる。
バーで「アイラのスモーキーなものを」と頼めば、まず差し出される一本がラガヴーリンだ。ところが自分で買おうと棚の前に立つと、少し戸惑う。定番は数えるほどしかないのに、8年が7,000円台、16年が1万円台と価格の開きが大きく、そこへ熟成年数の表記がないディスティラーズ・エディションや、毎年顔の変わる限定ボトルが混ざってくる。
この記事では、ラガヴーリンのラインナップを「定番・後熟・限定」という三つの層に整理し、それぞれの味の方向・度数・実売価格を並べたうえで、最初の一本をどう選ぶかまで落とし込む。なぜこの蒸溜所の酒がこれほど愛されるのかという物語は「アイラの帝王」と呼ばれる理由に譲り、ここでは「どれを買うか」だけに絞る。
ラインナップは「三層」で捉えると迷わない
同じアイラでも、アードベッグやラフロイグは年数表記のない個性派を何本も並べている。対してラガヴーリンの棚は驚くほど簡素で、おおむね次の三層に収まる。
- 定番(通年で買える)——8年(48%)と16年(43%)の二本
- 後熟——ディスティラーズ・エディション(43%、ペドロ・ヒメネスのシェリーをまとわせた樽で追熟)
- 限定——12年のカスクストレングス(ディアジオが年に一度出す「スペシャルリリース」)、毎年5月下旬から6月上旬に開かれるアイラ・フェスティバル(Fèis Ìle/フェイス・イーラ)の記念ボトルなど
限定枠には注意点がある。フェスティバルの記念ボトルは蒸溜所や現地での販売が中心で、日本の棚に並ぶことはまずない。俳優ニック・オファーマンと組んだ「オファーマン・エディション」(11年)もよく話題になるが、こちらは主にアメリカ市場向けで日本には正規流通しておらず、リリースも毎年ではない。国内で日常的に狙えるのは、上の三層のうち前二つ、実質3本と考えてよい。
16年——迷ったらこれ。ただし「1万円の一本」になった
ラガヴーリンの基準となる一本。1988年、当時のオーナーだったユナイテッド・ディスティラーズが「単独で味わうシングルモルト」6本を世に問うたクラシック・モルトで、アイラ代表に選ばれたのがこの16年だった。ピーテッドモルトの物差しとして長く扱われてきたのは、この役回りの大きさによるところも大きい。
味は、潮を含んだ煙と焦げた麦、その奥にじわりと出てくる甘みが、43%という穏やかな度数のなかで一体になっている。同じアイラの個性派と比べても「ガツンと来る」より「沁みる」と評されるのは、アイラのなかでも際立って長い時間をかけるとされる蒸留と、16年という熟成の長さが、ともに煙の角を落としているからだろう。余韻が長く、一杯で長く楽しめる。

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