
World Whisky
スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本の五大産地以外にも、世界各地でウイスキー造りが広がっている。インドは消費量世界最大市場を背景にアムルットやポール・ジョンといった評価の高いシングルモルトを生み、台湾のカバランは高温多湿な気候を生かした急速熟成で国際賞を席巻した。オーストラリア、フランス、ドイツ、北欧諸国でも個性的なクラフト蒸留所が台頭している。
スコッチの製法が19〜20世紀にかけて世界各地に伝わり、それぞれの土地の気候・原料に合わせて独自に発展してきた。台湾のカバランは2005年創業と若いが、2010年にスコットランドの「バーンズナイト」ブラインドテイスティングで長期熟成の名だたるスコッチを抑えて優勝し、一躍世界の注目を集めた。インドは英国統治時代からラム由来の蒸留酒文化があったが、近年はゴア州のポール・ジョンやアムルットなど大麦を使った本格シングルモルトの生産国としても評価を高めている。
高温多湿な地域では熟成が驚くほど早く進む。台湾の1年はスコットランドの4〜5年に相当するとも言われ、樽内で失われる原酒(エンジェルズシェア)もスコッチの年間約3%に対し台湾では10〜12%に達するとされる。蒸発が激しい分、短期間で複雑な熟成香が生まれる一方、長期熟成には不向きという側面もある。北欧など冷涼な地域では逆にゆっくりとした熟成が特徴で、伝統的なスコッチに近いスタイルを志向する蒸溜所も多い。
産地の気候によって熟成速度もスタイルも大きく異なるため一括りにはできないが、近年は各国が自国の風土を生かした独自性を打ち出す傾向が強まっている。
五大産地以外の主役は、2005年創業ながら2015年に「世界最高のシングルモルト」に選ばれた台湾のカバラン。インドではゴア州のポール・ジョンやバンガロールのアムルットが高温熟成を生かした濃厚なモルトで評価を高める。ウェールズのペンダインやスウェーデンのマックミラなど、欧州各地のクラフトも存在感を増している。
Helsinki Whiskey 100% Rye Malt
🇫🇮 フィンランド ・ ヘルシンキ・ディスティリング・カンパニー蒸留所 ・ シングルモルト ・ NAS ・ 47.5%

Three Ships 12 Year Old Single Malt
🇿🇦 南アフリカ ・ ジェームズセジウィック蒸留所 ・ シングルモルト ・ 12年 ・ 46.3%

M&H (Milk & Honey)
イスラエル ・ 2014年

Archie Rose
ニューサウスウェールズ ・ 2014年

Adams Distillery
タスマニア

Destileria y Bodega Abasolo
ヒロテペック

Amrut
バンガロール ・ 1948年

Armorik (Warenghem)
フランス ・ 1998年

Alwar Distillery
ラジャスタン

English Whisky (St. George's)
イングランド ・ 2006年

Indri
ハリヤーナ ・ 2021年

Spirit of Hven
スウェーデン ・ 2008年

Eddu (Menhirs)
フランス ・ 2002年

Overeem
タスマニア ・ 2007年

スコッチやジャパニーズだけが世界ではない。台湾・インド・イングランド・豪州・北欧……近年、国際的な評価を一変させた「ニューワールドウイスキー」を、国ごとの個性と最初の一本の選び方でやさしく案内する。

スコットランドの隣にも、1世紀の空白から甦ったウイスキーの産地が二つある。ウェールズは2023年に英国初の蒸留酒GIを勝ち取り、イングランドは4年以上申請中のまま。争点は「シングルモルト」という一語の読み方だった。

アルゼンチンの家族蒸溜所が、2つの樽を軍用機で南極へ送った。マイナス35度の小屋で3年。造り手は蒸発が抑えられたようだと言うが、確かめるには度数を測るしかない。8つの大陸を比べる分析が2026年7月に始まった。

世界でいちばんウイスキーを飲む国はインド。だが国内で飲まれる「ウイスキー」の多くは糖蜜から造られ、EUや英米の定義ではウイスキーと名乗れない。そのねじれの理由と、アムルットやポール・ジョンが起こしている逆転を追う。