ジムビーム vs ワイルドターキー——原料の考え方が近い二本が、「割る酒」と「そのまま飲む酒」に分かれるところ
スーパーのバーボン棚に並ぶ二本。どちらも小麦ではなくライ麦を使う王道のレシピなのに、味も値段も違う。分かれ目は熟成年数と瓶詰めの度数、そして棚からは見えない「樽に入れるときの度数」にあった。
スーパーや量販店のバーボン棚で、白いラベルのジムビームと、羽を広げた七面鳥のワイルドターキーは、たいてい隣り合って置かれている。どちらもケンタッキー生まれ、どちらもトウモロコシにライ麦を加える伝統的なレシピ。それなのに、値段にはっきり差がつき、飲んだ印象もかなり違う。
同じような顔をした二本の、どこが分かれ目なのか。この記事では「熟成年数」と「瓶に詰める度数」という二つの軸で整理し、そこに「樽に入れるときの度数」という補助線を足したうえで、飲み方から選ぶところまでまとめる。
「小麦か、ライ麦か」では説明がつかない
バーボンには法律で決まった枠がある。原料の51%以上をトウモロコシにすること、そして内側を焼いた新品のオーク樽で熟成させることだ(→なぜバーボンは「新品の樽」しか使えないのか)。
残りの数割に何を混ぜるかで個性が分かれる、というのがバーボンの基本的な読み方だ。実際、メーカーズマークとジムビームの違いは、ここでほぼ説明がつく。メーカーズマークはライ麦を使わず冬小麦を選び、その一点で口当たりが丸くなる。
ところが今回の二本は、その物差しが効かない。ワイルドターキーは一般に知られる配合でトウモロコシ75%・ライ麦13%・大麦麦芽12%。ジムビームは配合を公表していないが、ライ麦の比率は13%前後とされる。どちらも小麦ではなくライ麦を使う、王道のレシピだ。穀物の設計思想は、むしろ近い。
では何が二本を分けているのか。答えは、原料を仕込んだあとにある。
分かれ目①——同じ「入門ボトル」で、熟成年数が違う
もっとも分かりやすいのが熟成年数だ。
ジムビームのホワイトラベルは、4年以上の熟成を公式にうたっている。バーボン自体に最低熟成期間の定めはなく、「ストレートバーボン」を名乗る場合に2年以上が求められる。その下限は大きく上回るものの、バーボンとしては標準的な長さだ。

対するワイルドターキーの入門にあたるのがスタンダード(81プルーフ/40.5%)。公式サイトは「6年、7年、8年熟成の原酒をブレンド」と明記している。日本での希望小売価格は700ml・2,926円(税込)だ。
このコラムの関連
関連するボトル


次に読む

ブラインド・テイスティング用のグラスは、なぜ青いのか——白ワインを赤く染めた実験と、色を消す道具
ブラインド用のグラスには、中身の色が見えない青や黒のものがある。色を隠すと何が変わるのか——白ワインを赤く染めた2001年の実験と、黒いグラスを使った追試、そしてウイスキーの色が読み違えやすい理由をたどる。

ウイスキーの瓶の底に沈んでいる粒は何なのか——温度を戻して消えるかどうかで、正体は二つに分かれる
グラスや瓶の底に、黒い粒や白いもやが見えることがある。正体は二系統に分かれる。白いものなら、温度を戻して消えるかどうかが決め手になる。飲んで大丈夫なのか、そして樽の沈殿物をあえて瓶に残すボトラーの話。





