スモーキーなジャパニーズウイスキーの選び方——白州の淡い煙から三郎丸の80ppmまで、煙の濃さと質で選ぶ5つの蒸溜所
日本にもアイラのような煙のウイスキーはあるのか。白州・嘉之助・余市・厚岸・三郎丸の5蒸溜所を、煙のおだやかなものから濃いものへ。ppmの読み方と「ジャパニーズ」表示の確かめ方、飲み方のコツまで。
アイラのスモーキーなモルトにハマると、次に気になってくるのが「日本にも、こういう煙のウイスキーはあるのか」という問いだ。答えはイエス。ただ、日本の煙は蒸溜所ごとに濃さも質もかなり違う。
この記事では、スモーキーなジャパニーズウイスキーを、煙のおだやかなものから濃いものへ、煙の質の違いもわかるように、5つの蒸溜所を順に紹介する。その前に、選ぶときに知っておきたい前提を二つ押さえておこう。
選ぶ前に知っておきたい2つのこと
1. 煙の強さは「ppm」が目安。ただし数字だけでは決まらない。 スモーキーさの源は、麦芽を乾かすときに焚くピート(泥炭)の煙だ。煙の強さの目安は、麦芽に移ったフェノール類の濃さ(ppm)で表される。ただしこれは麦芽の段階の数字で、蒸溜や熟成を経たグラスの中の煙の強さとは必ずしも一致しない(→ウイスキーのppmとは何か)。
2. 「ジャパニーズウイスキー」かどうかはラベルで確かめる。 日本洋酒酒造組合が2021年に組合員の自主基準として定めたルールでは、原材料や製法の要件を満たしたものだけが「ジャパニーズウイスキー」と表示できる(→なぜ定義が必要になったのか)。国内メーカーの商品でも、海外の原酒を合わせたものはこの枠の外で、「ワールドウイスキー」などと呼ばれる。たとえばサントリーは2022年に、煙を強めたワールドウイスキー「碧Ao〈SMOKY PLEASURE〉」を発表している。どちらが上という話ではないが、日本の蒸溜所の煙を味わいたいなら、表示を見ておきたい。
1. ほのかな煙から入るなら——白州
山梨・南アルプスの森の中にある、サントリーの白州蒸溜所。主役は若葉を思わせる爽やかさで、煙はその奥にうっすらと漂う程度だ。サントリーは、白州ブランドの特徴的な香味として「柔らかく軽快なスモーキー香」を挙げ、ブランドの原点である12年についても「甘く柔らかなスモーキー香」を特長としている。
煙を「隠し味」として感じる程度なので、スモーキー入門にはいちばん入りやすい。ハイボールにすると、爽やかさの後ろに煙がふっと残る。
2. 甘さの中に煙をひと筋なら——嘉之助
鹿児島・吹上浜の嘉之助蒸溜所は、焼酎造りで培った技術をウイスキーに生かす蒸溜所で、温暖な気候と潮風が育てる「芳醇でメローな味わい」を持ち味にしている。
その嘉之助が2025年5月に数量限定で出したのが「嘉之助 シングルモルト PEATED」(48%)だ。ピーテッド麦芽とノンピート麦芽を併用し、焼酎の熟成に使ったアメリカンホワイトオーク樽やバーボン樽などの原酒に、辛口シェリー(マンサニージャ)の樽でアクセントを加えた。公式のテイスティングノートには、スモークベーコンや塩飴と並んで、かりん飴、洋梨、きんかんのコンポートが挙がる。煙を主役にするというより、甘く丸い酒質に煙をひと筋通した一本だ。
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