
Natural Colour (No E150a)
カラメル色素(E150a)を添加せず、樽から出たそのままの色調で瓶詰めする方針。色の濃さは熟成年数の目安にならなくなる。
ウイスキーは天然の農産物であるため、同じ蒸留所・同じ熟成年数の原酒でも、樽ごとに色調がまちまちになる。多くのメーカーはロットごとの色を均一に見せるため、また消費者が「色が濃い=熟成が長い」と直感的に感じることを踏まえた見た目の演出のため、カラメル色素(E150a、単糖類を加熱して作る着色料)をごく少量添加して色を調整する。E150aは無味に近く風味への影響はほとんどないとされるが、色から熟成度合いを推測できなくなる副作用がある。 スコットランドやアメリカでは表示義務がない一方、ドイツや北欧諸国では法律でE150a添加の表示が義務付けられている。近年はナチュラルな製法を重視する消費者の関心の高まりを受け、あえて着色料を使わない「無着色」「ナチュラルカラー」を明記して売り出すボトルが増えており、ノンチルフィルターと並んで「素材そのままの individuality」を打ち出すマーケティングの一部になっている。



The English Smokey
🏴 イングランド ・ イングリッシュ蒸留所(セントジョージズ) ・ シングルモルト ・ NAS ・ 43%

Bruichladdich Black Art 1994 Edition 08.1
🏴 スコットランド ・ ブルイックラディ蒸留所 ・ シングルモルト ・ 26年 ・ 45.1%

加水や冷えでウイスキーが白く濁るのはなぜか。その正体である長鎖脂肪酸エステルと、透明感を保つ冷却濾過(チルフィルタレーション)、そして愛好家が「ノンチルフィルタード」を好む理由を、分子のふるまいから解き明かす。

「琥珀色は樽熟成の証」——そう信じたくなるが、実は多くのスコッチには色調を整えるためのカラメル色素E150aが添加されている。なぜ添加が許され、なぜ表示されないのか。規制・目的・味への影響、そして「ナチュラルカラー」を貫く蒸留所の思想から読み解く。

棚に並ぶ「カスク No.○○」と番号入りのボトル。シングルカスクはなぜ一本ごとに表情が異なり、売り切れれば二度と同じ味が手に入らないのか。混ぜて味を揃える通常の瓶詰めとの違い、樽ごとに個性が育つ仕組み、そして「一つの樽を味わう」文化の始まりまでを読み解く。

ラベルに躍る60%前後という数字。カスクストレングスは、なぜ度数が高く飲みにくいはずなのに熱心なファンを掴むのか。「樽から出したまま」という思想と、飲み手が主導権を握れる自由さ、そして1968年に始まった歴史から読み解く。

グラスに注がれた美しい琥珀色。だが蒸留したての原酒は、実は無色透明の液体だ。あの色はどこから来るのか。そして「色が濃いほど古くて上等」という思い込みは、なぜ必ずしも正しくないのか。色を生む樽のはたらきと、見た目に隠れた落とし穴を読み解く。

印刷ミスで生まれた黄色いラベル、密輸船長ビル・マッコイ、そして「リアル・マッコイ」の伝説。手頃な定番ブレンデッド・カティサークが禁酒法下のアメリカで名を上げた数奇な航海をたどる。

「ストレート」「ボトルド・イン・ボンド」「スモールバッチ」「シングルバレル」。アメリカンウイスキーのラベルに並ぶ言葉を、連邦規則の裏づけがある土台から順に整理し、棚の前での選び方に落とし込む。

ビールの瓶は茶色、赤ワインは濃い緑。なのにウイスキーの瓶は中身が丸見えの透明が主流だ。光が酒を壊す化学反応と、それでもウイスキーが色を見せる理由、そして2年の日光がボウモアを別物にした実験をたどる。

ある市販ウイスキーのpHを測ると3.80。歯が溶け始めるとされる5.2〜5.5を下回る。ところが同じ研究はそれを「酸蝕性なし」と結論した。酸の強さではなく「量」と「時間」で見る歯科の物差しから、水割り・ハイボール・着色・歯周病までを一次資料の数字で確認する。

ペットボトルのお茶には原材料も栄養成分も並ぶのに、ウイスキーの瓶にカロリーは無い。書き忘れではなく、食品表示基準が「酒類」を名指しで義務から外している。何が免除され、なぜ国産ウイスキーには原材料名があるのかを条文から読む。

どちらも樽で寝かせた琥珀色の蒸留酒。EUの規則では隣り合って定義されているのに、熟成年数の下限、ラベルの「◯年」が指すもの、砂糖を足していいかどうか——三か所だけ、扱いがはっきり分かれている。

どちらも樽で熟成し、琥珀色になり、値札も近い。それでもウイスキーとテキーラは、糖の作り方・熟成の下限・足していい添加物・原料表示・産地の縛りで、条文の線の引き方が正反対に近い。NOMとEU規則を並べて読み解く。

蒸溜所は水源を誇るのに、瓶詰め前の加水にはミネラルを抜いた水を使う。理由のひとつは、樽由来のシュウ酸と水のカルシウムが作る消えない結晶にある。40%の一本の3割前後を占める「割り水」の話。

スコッチウイスキー規則2009とアメリカ連邦規則5.143条を一行ずつ並べて読むと、熟成年数も樽も添加物の可否も、通説とは違う場所に線が引かれていました。「何も足すな」と厳しく書かれているのは、じつはバーボンのほうです。

樽に入れれば焼酎も色づく。それなのに棚の樽貯蔵焼酎はどれも淡い。着色度には0.080という上限があり、超えたぶんはろ過で抜かれている。しかも縛られているのは色だけではなかった。ウイスキーの側から見ると、この線の意味が見えてくる。

ブラインド用のグラスには、中身の色が見えない青や黒のものがある。色を隠すと何が変わるのか——白ワインを赤く染めた2001年の実験と、黒いグラスを使った追試、そしてウイスキーの色が読み違えやすい理由をたどる。